月がとても綺麗だったから自分の部屋からではなく外に出て見たいと思った。教団の裏手にある森まで歩いていった。
森まで歩いていくうちでも綺麗な月が見れた。どこから見てもこの月は綺麗だろうと思いながらも森を目指した。
満月だろうか。満月でも少し欠けていたとしても綺麗なのだから別にいい。月明かりが綺麗で、眩しかった。
大きな木の根元へと歩いていった。木が、ここからの月が綺麗だと言っている様な気がした。
そこから見た月は今さっきまで見ていた月より本当に綺麗で、全く違うもののように見えて不思議だった。
「だれ」
「分かってるくせに」
近づいてきた気配の主のラビは手を軽く上げて苦笑いして隣に座った。
「ここから見る月が一番綺麗さぁ」
ラビは子供のように目をきらきらさせて月を見上げていた。あぁ私はこの目が好きなんだ、惚れたんだ。
「何さ?見惚れてたか?」
笑いながら可笑しく言うラビ。図星だった私は赤くなった。月明かりが強すぎてラビに気づかれてしまったんじゃないかと戸惑った。
「ついてきてたの?趣味悪いわね、声かければいいのに」
「があまりにも楽しそうだったから言いそびれたさ」
私は自分では分からないほどに楽しんでいたのだろうか。
ラビが肩を抱いてきた。甘えるのが嫌いな私はそれを拒んでしまった。
「大丈夫さ。は今だけ考えればいい。未来なんてどうにでもなる」
「そんなことないわ」
「分かるさ。未来が怖いんだろ。今も信じることができない。不安で仕方ない」
当たっているのかもしれない。私はそれをラビの口から聞くためにこの森まで来たのかもしれない。月が導いてくれたのかもしれない。
私は肩の力を抜いてラビに身を委ねた。
「ぎゅっと抱きしめて、ラビ」
Yellow Moon
イメージソング GARET CROW "Yellow Moon"
月が綺麗だったので
(2007/8/30)