静寂が音を立てるとき
 




葉舟




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青空と言っても海ほど綺麗な青じゃない。かと言って嵐の空よりかは暗くはない。いつも見ているような特別じゃないそんな空が広がり、見たことあるような形の雲が並び、通り抜けていく。 風は優しくて、寒くもなく、暖かくもなかった。緑は青々茂っていて、川は一方通行に流れ続けている。鳥は生きるため、太陽は輝くため動き出した。 人々は流れに沿って歩き、時折立ち止まる。少女に抱かれた縫いぐるみは何か思いながら、空を見たり地面を見たり。機械は同じ運動を繰り返し、いつかは壊れる。永遠は独り、遠くで笑ってる。 私は考えた。いつもがいつも続くように。そうこうしている内にも、時間は流れていてすり抜けていく。永遠はほんの少し近づいて、また笑っていた。









コムイさんのところへ行く前に中庭に立ち寄ってみた。見上げると雲が空一面に敷き詰められていた。けれど太陽の日差しはしっかりと地上に降り注いで私を照らしていてとても不思議に思った。 時々、隙間が見え隠れしてその度に光が強くなる。日の出と日没を繰り返しているようで、とても神秘的だった。



「おーいちゃん!ヘブくんのところに行くよ!」

「今行きます」









「久しぶりへブラスカ」

…か。本当に、久しい。おいで…」



へブラスカが手を差し伸べる。私は身を委ねるだけ。へブラスカは優しく温かく包んでくれる。頭の中に言葉が流れたり、過去が出たり入ったりしていたような気がした。 へブラスカは私を降ろしてくれたあと、少し間を置いて言った。


「シンクロ率を知りたいか」


それがとても重要だということは分かった。何も恐れることはない。分かっていることだから。


「50%を…きっている…。36だ」


予想より少し低かったが絶望はしていない。まだ戦える、そう思っただけだ。


「お前は疲れている。少し休め…時々は私に会いに来てくれ…」

「私もまだ戦いたいから、今は辛抱、ね。また会いに来るわ」


そう言ってへブラスカと別れた。静寂が少し音を立てていたような、そんな気がした。
コムイと別れ、談話室のソファに深く腰掛ける。は昔のことを思い出していた。









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(2007/12/4)