葉舟




- 02 -




みんなに何かお土産でも買っていこうと思って適当な駅で電車を降りた。
早く帰るなんて言っておきながらのんびりしている自分を笑う。 綺麗な街並みが続く道を歩いていった。



「…!この感じは…千年伯爵…?」


突然寒気がして急いで気配がする方へ走っていった。
大きな爆発音が何度も響く。この綺麗な街にこの爆発音は邪魔者だった。


「誰か戦ってる…急がなきゃ」


墓の真ん中で白髪の男の子がアクマと戦っている。 団服は着てないが彼はエクソシストなのだろう。


「手伝うわ。新人エクソシストさん?」

「わっ!ビックリした。どなたですか?」

「私は。エクソシストよ」


彼女は静かに“イノセンス発動”と言った。
細かな白い泡のような物がの体の回りを飛び、最後には刀の形になった。


「愚かなアクマよ。我に返れ」

は踊るように刀を振りアクマを倒していく。


(すごい。あの人目を瞑ってる)

アレンも加わりアクマは減っていく。


「どうやらこのレベルじゃ相手にならないようでスね♥」

「また出直すことにしましょウ♥」


伯爵はの方へと視線を向けた。唇が不気味に弧を描く。


「久しぶりでス、。また会えて嬉しいでス♥」

「私はお前なんかと二度と会いたくないと思っていた」

「目が怖いでスよ?貴女は笑ってるほうが似合いまス♥」

「くだらない。果てて灰になれ。そして神に懺悔しろ」


その言葉を皮肉るように笑い千年伯爵は空へ上っていった。




「アレン!?」


男の子がアレンに駆け寄ってきた。
伯爵がいなくなって緊張が解れたのかアレンは血を流して倒れた。
落ち着いたところではアレンに話しかけた。


「えっと新人さん?名前は何ていうの」

「アレン・ウォーカーです。よろしくさん」

「アレンね。よろしく」


アレンはイノセンスが宿る左手を出してしまい引っ込めようと思ったがは構わず握手をした。


「ところでアレン。これからイノセンスの発動を解くからあとはよろしくね」

「えっ、よろしくって何を…」


アレンが言い終わる前にはさっきまでアクマを倒していた刀を自分の胸に向けた。


「えっ…さん…?」


アレンが止めに入った瞬間には自ら自分の胸へ刀を刺した。

刺した刀は元の白い泡に戻り、消えていった。 は意識をなくし倒れている。


「よかった。気絶してるだけだ」


アレンも限界が来ていたようで少し顔をしかめてその場に倒れた。






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