葉舟
- 00 - 貴方という大きな波が、私という葉舟を押す。 岩にぶつかっても、木に引っかかっても、押し続ける。 それは哀れみでも、慰めでも、激励でもあった。 私は思う。 貴方さえいれば、この流れの速い川を逆流することでさえ出来るのではないか。 いつかは海にたどり着く。 でもあの大きな海には行きたくない。 私は小さな存在で、貴方はすぐに大海原に消えてしまいそう。 ずっとこのままでいいのに。 変わることが必然だとしても、私は抗うのか。 不可能でも拒むのか。 貴方は知らない。 私も知らない。 波はどこまであり続けるのか。 葉舟はどこまで進むのか。 |
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