エピローグ
 




葉舟




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貴方という大きな波が、私という葉舟を押す。
岩にぶつかっても、木に引っかかっても、押し続ける。
それは哀れみでも、慰めでも、激励でもあった。


私は思う。
貴方さえいれば、この流れの速い川を逆流することでさえ出来るのではないか。


いつかは海にたどり着く。
でもあの大きな海には行きたくない。
私は小さな存在で、貴方はすぐに大海原に消えてしまいそう。


ずっとこのままでいいのに。
変わることが必然だとしても、私は抗うのか。
不可能でも拒むのか。


貴方は知らない。
私も知らない。


波はどこまであり続けるのか。
葉舟はどこまで進むのか。




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(2009/5/8)