葉舟
- 04 - 次の日は風の音と寒さで目を覚ました。 神田は一晩中そばに居てくれたようだが、は長旅とイノセンスの発動による疲れで部屋に着いた途端にベッドに倒れこんで眠ってしまった。 おそらく神田が窓を開けたのだろう。私が起きるように、それか今までの恨みで風邪を引かせたかったのかも、などと考えては一人で笑ってしまった。 「起きた時、最初にユウの顔が見たかったのに」 少し寂しい気持ちになったがどうせすぐに合える。は服を着替えて食堂へ行った。 「何だとコラァ!!」 食堂へ着くと誰かが大声で叫んでいた。声のした方へ見てみると神田が関わっているらしい。 神田がバズの首を掴み台詞を吐き捨てる。 「死ぬのがイヤなら出てけよ。お前ひとり分の命くらい、いくらでも代わりはいる」 「ストップ」 アレンが止めに入り神田の腕を掴んだ。も神田のそばへ立つ。 「もう人は殺さないで。私たちはアクマだけ壊せばいいのよ」 怒っているような、泣きそうな顔で神田を見ていた。 「…悪い……」 神田はそう言うと手の力を抜いた。 「あ、いたいた!神田、アレン!それと!」 リーバーが書類を両手いっぱいに持ってたちを呼んだ。 「10分でメシ食って司令室に来てくれ。任務だ」 ○ リナリーが結婚すると言われてコムイが飛び起きた。 「さて。時間が無いので粗筋を聞いたらすぐ出発して。詳しい内容は今渡す資料を行きながら読むように」 神田とアレンは嫌そうな顔で見合わせた。 「最初は二人ペアで行ってもらおうと思ったんだけど仲悪そうだったから」 「仲介役で私が行くことになったのね」 「そういうこと。よろしくねちゃん」 普段はふざけた人間に見えるコムイも仕事となれば真剣な顔になった。 「南イタリアで発見されたイノセンスがアクマに奪われるかもしれない。早急に敵を破壊しイノセンスを保護してくれ」 は自室に一旦戻り、支度をして地下水路へ行った。着いた頃には神田もアレンもボートに乗っていた。 「ちゃん」 不意にコムイに呼び止められ振り返った。 「無理しなくていいから。あの二人なら大丈夫だから」 どんなな意味で大丈夫と言っているのだろうか。 「分かってるわ。また連絡します」 微笑んで手を振った。 |
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