温もりと共に
 




葉舟




- 08 -




「…綺麗…」


海辺の小さな町に着いた時にはちょうど夕日が沈むところで海が真っ赤に輝き、綺麗だった。 は浜辺まで走っていく。神田はゆっくり歩いてくる。 波打ちぎわまで行き、少し下がったところで座り、夕日を眺める。 神田がの横で立っていると白い砂浜をポンポンと叩き座れという合図をする。 神田は素直にに従い隣に座った。 二人は肩を寄せながら、夕日が沈むまで一言も話さなかった。


「行こうか」

「あぁ」


こんなのが会話とは言えないかもしれないが、それでも良かった。 二人は明かりが灯す道を歩いていった。












ときどき私は夜になると涙が自然と流れ出る時がある。 毎日ではない。こんな時に涙が出てくると言う法則性も全くない。 理由は分からない。悲しいのか、寂しいのか、悔しいのか、嬉しいのか。 何故自分は涙を流すのだろうと考える。泣いてもいいことは一つもないのに。


「お前…まだ直ってなかったのか…」

私の涙を見て、ユウは驚いていた。この半年間で直っていたと思っていたのだ。


「これ、直るのかな…」

尚も泣き続ける私を見てユウは抱きしめてくれた。半年前までもそうだった。

ユウが抱きしめてくれるとさっきよりも涙が流れてくるような気がした。



半年と言う大きな時間の流れで忘れかけていた何かが音を立てて弾けたような気がした。



「ユウは寝てていいよ。もう大丈夫だから」

「そんな顔して全く説得力がない」


そう言うとユウは私の頬を伝う涙を拭い、ベッドに入ってく。

隅のほうで横になった。隣がちょうど一人分あいている。


「大丈夫なら寝ろ」


ユウは反対を向いた。恥ずかしいのだろうか。

私はクスクスと少し笑って神田の隣へ寝た。



今更だけど、ユウの背中おおきいね。








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(2007/7/7)
(2008/2/16 編集)