今日はすごく暑い。暑いからなるべく太陽の下を歩きたくない。だから俺は走った。
との集合場所まで走った。何か今日はデートみたいなもんをするらしい。
俺は走った。日陰を求めて!しかーし!神様はそんなに甘くはなかった。神様はお天道様の見方だったのだ。
走ったのだから必然的に汗が出てくる。そしてさっきより何倍も暑い。誤算だ。
集合場所についたはいいけど求めていた日陰はないし、あいつもまだ来てない。
まぁまだ5分前だからいいんだけど。
日傘でも買おうかと思った。ピンクでも、フリフリのレースがついててもいいから!
とにかくお天道様の下から逃げたかった!
集合時間になっても奴は来ない。おいおいどうした。熱中症で倒れてんのか?
倒れたいのはこっちだ。
そして10分後、遅れて奴、登場。走ってきたので許そう。暑さへのイライラをアイツにぶつけてしまわぬように。
「どうした?寝坊か?」
「いやいや違うって。おばあさんが熱中症で倒れてたから救急車呼んであげてたの」
何だよじゃなくてばあさんかよ。よかったと思った、なんて言えないけど。
「お前はホントお節介と言うか、何と言うか」
「優しい良い子って言うんだよ」
ニコニコしながら自慢げに言った。
「しっかし暑いなぁ。溶けるかと思ったぜ」
「ホント。早く行きましょ。やけるのも嫌だし」
の肌は雪のように白い。だからこの暑さでは本当に溶けてしまいそうだった。
「どこ行くんだよ」
「水族館」
水族館?ちょっと遠いじゃねぇか。でも嬉しそうにしてるを見ると距離も何もかもがどうでもよくなる。
まぁ水族館なら冷房も効いてるだろうし何より「水」とつくのだから涼しく感じるに違いない!
「分かった。早く行こうぜ。ホントに溶けちまう」
「ペンギン見たいなぁ。イルカショー見よっ!」
久しぶりにはしゃぐを見て俺は知らない間に笑っていた。
「お昼はオムライス!」
「オムライスかよ」
俺は鋭いツッコミをかましながら、よし!今日は俺がおごってやる!と密かに計画。
しかしの話に出たのはどれも高級料理店。無理だ。俺の財布が寂しくなっちまう。
「よしファミレスにしよう」
俺は今後のことを考え、ファミレスを提案。
「ファミリーレストランですか」
何故フルネームで呼ぶ!今の時代、略語と言う便利な言葉があるのに!
「あ、あれでしょ。ファミリーだけに私たち家族になろうか、とか言うんでしょ!?」
……上手い!しかし!俺はまだそんなこと考えてない!断じてない!まだ高校生!
「言わねぇよ!ただ財布が寂しくなっちまうからファミレスって言ったんだよ!安いから!」
「愛よりお金を選ぶのね…まぁいいわ。お昼はファミリーレストランね」
だから略語を使え!周りから変な目で見られてるぞ!
俺は、やれやれ、と皆さん公認となった口癖を言った。は何も気にしてないらしい。
それからも俺達はボケとツッコミのオンパレードを繰り返しながら他愛もない時間を過ごした。
そして俺達はどちらからというわけもなく、ごく自然に、手を繋いだ。