「、いるか」
夜も更けてきた頃、の部屋の前で土方の声がした。
「えっ…歳三さん」
が障子を開けると、少しはにかんだような顔をした土方がいた。
「よぉ」
「…ちょっとお久しぶりですね」
この所土方は忙しく部屋に篭りきりだった。
は相変わらずの生活を送っていたが
何故だかすれ違いこのところ土方とは会っていなかった。
「何か御用ですか?」
土方を自室に招き入れるとは聞いた。
忙しい中、わざわざ部屋まで来てくれたのだ。
何か用があるに違いない。
「なぁに、お前の顔が見たくなっただけだ。
…、お前少し太ったか」
「えっ?」
乙女にいきなりの不躾な質問である。
「そ、そう言えば最近よく食べているかもしれません…」
好きな人に太ったと言われ、正直に答えながらもは少し落ち込んだ。
「お前は少し太ったくらいが丁度いい」
「そうでしょうか…」
そう言ったきり土方はを見つめながら黙ってしまった。
見つめられるのは恥ずかしい。
恥ずかしさをまぎらわすため、少し思いやりのない言葉を発してしまった。
「あの、お忙しいのに何をしに来たんですか?」
今のは少し嫌味だったかな、とは思った。
「言ったろ」
「てめぇの顔が見たくなっただけだ」
そう言って土方は口の端を上げて微笑んだ。
顔みつめをり
(10.04.18)
Setiのハツキさんへ四周年おめでとうございます!
iUigriega! の小川さんより頂きました!いつも本当にお世話になっています。ありがとうございました!
(2010/4/24)
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